美容室の求人対策として、社会保険は本当に必要かを考えてみる

ご覧いただき、ありがとうございます。

 

 

美容室オーナーからこんなご相談がありました。

 

「求人に力を入れたいので、社保やろうか迷ってるんです。」

なるほど。

美容業界の求人問題は多分、今多くのサロンオーナーが抱えていて、一番の悩みと言っても過言ではないのでは?

というくらい、人、集まりませんよね。。。

ごく稀に新卒やら中途やら、特に何にもやってないのに人が集まってるレアなサロンもありますが、表参道や原宿などの限られたエリアで、更に厳選されたサロンだけなので、そこは置いときましょう。。。

 

美容学校の生徒、卒業生が減っているのは皆さんご承知のところだと思います。

でも最近は中途やパートタイムで働く美容師さんもなんか少なくなってきているように感じるんですよね。

原因は1つではないでしょうし、すぐに解決も難しいとは思うのですが、今は3B(バーテンダー、バンドマン、美容師)なんて言われてしまっているのが現状なんですよね。。

美容業界にいると、給料もそんなに悪くないし、むしろ稼げる人は一般企業の役員や役職クラスの所得の人も多くて、かなり魅力的な業界だと思ってるんですよね。

この業界しか知らないからそう思っちゃうのかな?なんて考えたりもしますが、そうじゃない気もするなぁと思ったりもします。

独立をお手伝いした方達に、儲かったらタカリに行きますねー。って言ってるんですが(笑)練り歩けば晩飯代くらいマジで浮くんじゃないかな?とか思ってみたりw

 

そして本題の社保。

 

社会保険のおさらい

 

ざっくりおさらいしておくと、健康保険と厚生年金を合わせて「社会保険」ですよね。

健康保険部分は出産一時金やら手当てが増えたりなどのメリットがあります。

年金部分では国民年金に所得に応じて上乗せされる、二階建年金になる。

個人的には健康保険でも国民健康保険でもどっちでもよく(保険屋なんで自分でしっかりやってますし)、年金も将来貰えるかメチャクチャビミョーだと思ってるんで、余計な支払いはしなくていいならしたくないですw

義務だし、ちゃんと支払ってますけどね!というより給料から自動で引かれてますがw

多少なりとも年金の貰える額も増えると思ってますし。。

 

ただ、家庭環境や人それぞれ考え方も違うんで、良いも悪いもフラットには考えるようにしてます!

社保を求める従業員もいるのも事実ですし、少なくないですからね。

義務は義務なので、対象であればちゃんとやらなきゃいけないですよね!

 

美容室の求人対策として

テーマをここに置いた場合はどうでしょう。

まず前提として、

社会保険加入義務があるのであれば、やらなきゃダメ。

大前提としてこれがあるので、法人美容室だったらやらざるを得ないですよねー。

所得分散とか、一部加入とか、税務署や社会保険事務所からの突っ込みどころ満載なやり方はやめときましょう。

そしてこれ以上はここには書きません、書けません!

 

で、前提やらをひとまず置いといて、社保加入が求人対策になるのかというと

 

多分、ちょっとなる。

 

って個人的には思ってます。

 

福利厚生の充実は今後ちゃんと考えて行かなきゃいけない課題ですからね。

もちろん社保があるのと無いのとでは、ある方が良いに決まってますよね。

 

ただし、給料の「手取り」が変わらないのであれば。って僕は思ってます。

 

仮に社会保険加入で給料が下がるとしたら、別に社会保険なんか無くても、手取りが多い方がいいや。って方も多いんじゃないかと思います。

 

社会保険加入してないサロンには応募も来ない。

なんて話もありますが、社会保険やってても応募は無いという声が上がっているのも事実です。

逆に個人で社保やってなくても、新卒が毎年入ってるサロンもあるんですよ?

 

親御さんに社会保険に入ってる所を選びなさい。

と言われてる美容学校卒業生も多いみたいですが、自分で働きたいサロンを選ぶ事が出来ないのかな?いくつ?とか思っちゃうんですよね。

自分が20歳くらいの頃はもっと何も考えてなかったので多分、親が言ってるんで〜。って言ってると思いますが(笑)

美容学校とかでも、社保の勉強会とかやればいいんですけどね?

君は保障と手取り、どっちが重要だい?

みたいな?w

 

しっかり社会保険を理解し、その上で選択するのであれば全く問題はないのですが。

社会保険加入してるサロンを選んで、結果辞めていく。なので今は社保加入より「長く働けるサロン」の方が選ばれる傾向にあるようです。

 

社会保険加入より、もっと先にやらなきゃいけない気がするのは、給与体系の見直しと、休日の充実なのかな?

と思ってるんです。

アシスタント時代から、やったらやっただけ貰えるシステムを構築できれば、数少ない採用した貴重な人材を、手放さなくて済む可能性は上がるような気もします。

簡単な話ではないのはもちろん解ってますが、面貸し美容師が増えているのも事実ですからね。

 

でも、何度もいいますが、義務が発生する場合は、やらなきゃいけませんし、やれる体力があるなら間違いなく必須ですよね。

 

社会保険の会社負担と個人負担

そこで、費用としてどれくらいかかるかを試算してみます。

 

諸々細かいところは省きますので。

仮定として、現在個人事業で経営。

オーナーと従業員、合わせて5人の美容室としましょう。

オーナー
スタイリスト2名(それぞれ月給30万)
アシスタント2名(それぞれ月給20万)
だとすると、従業員の月給は合計100万ですよね。

法人設立に伴い、オーナー(社長)の役員報酬を50万に設定したとすると、従業員給料と合わせて150万の人件費になります。

社会保険料が約給料30%で、労使折半なので会社負担15%、役員スタッフがそれぞれ15%の負担になりますよね。

150万×15%=22.5万になります。

これが社会保険料の会社負担分で、もう15%の22.5万を、スタッフそれぞれが所得に応じて負担する事になります。

社会保険に加入を考える時点で、これくらいの負担額は想定内ですかね?

年間270万円の会社負担ですね。。。

あくまで求人対策にだけ焦点を合わせると、これだけあればなんか出来そうな気もします。

5年もあれば、新しい店舗が作れる金額ですしね。

後は加入後。

やっぱりしんどいから、社会保険やめます。なんて簡単には出来ないですよね。

従業員満足、求人対策としてやったにもかかわらず、やめてしまったら辞めてしまうスタッフも出てくるかもしれませんし、少なくとも、ん?うちの会社、大丈夫??と不安を抱えるスタッフもいるかもしれません。

そうなると、ギリギリまで社保を引っ張りたくなって、貯金を投げ打って維持をせざるを得なくなるかもしれません。

事実、そういったぎりぎりのサロンさんの相談は多いんです。

逆にスタッフからの視点で考えると、社保完備はやはり、どちらかというと喜ぶ方が多い感じですかね?

ただ、実際の手取り額が少なくなって初めて賛成しなきゃ良かったなんてスタッフもいるでしょうね。こんなに減ったとスタッフさんからの相談も来てますので。。

更にしばらくして、やっぱ社保やめます。なんて日にはオイオイ。って思っちゃう人もいるんじゃないでしょうか?

なので、多少求人対策にはなるとはいえ、安易な選択をしてしまうと、取り返しのつかない大ダメージを負う可能性があるので、注意が必要ですよね。

しっかりとした試算をして、言われたからやる。のではなく、長期的にやれる見込みがあるからやる。こうでないと、後々問題が生じる可能性「大」ですよね。

 

社保よりも先に出来るのであれば

社保ももちろんですが、それ以外にも求人対策や福利厚生の充実させる手段はないものか?

 

僕は年間休日の見直しや、給与の見直しをしてもいいんじゃないかなと思ってるんです。

スタッフの給料、みんな1万円アップ!とか。

スタイリストは20万、アシスタントは15万ボーナス出します!とか。

不確定な年金じゃなくて、うちは退職金制度導入します!とか。

こっちの方がテンション上がるし、求人広告の条件も良くなるので、求人対策としては良いんじゃないでしょうか?

簡単ではないでしょうけど、社保完備させて継続して行くより、よっぽどハードルは低い気もします。

さっきの設定でいくと、スタッフ4人が1万円の給料アップしても月4万、年間48万。退職金を月1万積み上げても負担はいっしょ。

ボーナス出しても合計70万。

極端な話、アシスタントで初任給25万とかだったら、僕なら食い付きます(笑)

そもそも人が足りてない中で休日を増やすのは現実的ではないかもしれませんが、社員旅行でハワイ行っちゃえばいいじゃないですか!(笑)

美容学校の先生方も、求職者も、長く勤められる職場、サロンを求めてるんですよね。

社会保険が必須だった最近までとは違い、今では「辞めないサロン」が求められているようです。

その対策として、社保なのか?休みなのか?お金なのか?

 

難しい問題ですが、求人会社に所属もしてるので、何かしらのアドバイスも出来ると思っています。

それぞれのサロンの状態に合わせて、福利厚生をカスタマイズしなきゃいけないですよね。

 

 

長文、お付き合いありがとうございます。

ABOUTこの記事をかいた人

千葉 実(チバ ミノル)

所属:REPSS株式会社

美容室の独立・開業・経営をサポートをしています!!

前職は美容ディーラー、その前は美容師をしていたので、18歳で高校卒業からずーっと美容業界に携わっています。

美容室、独立や経営に携わるうちに、誰かに相談したいことや今更知り合いには聞きづらいことなど、特に開業時にはわからないことばかりだと思います。

あー、そうなんだなるほどね。もっと早く見とけば良かった!聞いておけば良かった!と思ってもらえる情報を発信していければと思っています。