共同出資(経営)での美容室開業は、スタート前にしっかりルールが必要

ご覧いただき、ありがとうございます。

先日、美容室を開業されて約半年のオーナーと打ち合わせがありました。

よくよく話を聞いて行くと、以前勤務していたサロンから、同期の方と同額を出資して、一緒に開業されたそうです。

今回はその共同経営について書いて行きたいと思います。

 

そもそも共同経営は美容室開業に向いているか?

 

基本的に、僕個人としては共同経営って向いてないと思ってるんです。

上手くやっている方もいるので、あくまで個人的には、と解釈してください。

何故かというと、

単純に平等性に欠けるから。

です。

 

まず2人で共同開業するとして、借入れってどっちがします?

個人事業で開業の場合は、必ずどちらかが事業主になって、借入れをします。

仮にそれぞれ200万の出資をしたとしても、借金をどちらか片方が背負う事になります。

借入に対する保障も必要になりますが、その費用はどっちが持つのか?

立場的には平等にしたくても、側からみると片方は事業主(仮にAさんとします)、片方は従業員(仮にBさんとします)という位置付けになってしまうんですよね。

 

それと所得の平等性にも欠けます。

Aさんが事業主になってしまうので、仮に100万の利益が出た場合、そこからもう一方のBさんに給料を支払うかたちになり、単純に考えると、50万50万で分ける。ですよね?

これ、平等じゃないんです。

事業主のAさんは事業所得、従業員のBさんは給与所得で税金が違うんです。

仮に50万ずつ分配しても、税引き後の所得はBさんの方が多くなるんですよね。

さらにAさんは毎月の借入れ返済や、不動産諸々の契約上の責任も負っています。

仮に税金が同じでも、不平不満が出てきてしまっても仕方のない事ですよね。

 

まだあります。

2人の売上は、毎月変動しますし、どちらかに偏っても売上の高い方は低い方に不満が出ちゃうんじゃないでしょうか??

サロンの売上が200万だったとして、それぞれ150万と50万の売上だったら?

どう計算します?

 

その辺りの打ち合わせ、どこで線引きをして条件を取り決めるか。

これは開業前に済ませておかないと、後々揉める原因になってしまいます。

とはいえ、いざオープンしてみたら思っていた状況と違う。なんて事は当たり前のように起きるので、定期的に話し合いは必要にはなるかなぁと感じます。

なので、美容室の共同経営は、向いていないというよりも、維持が難しいと感じています。

 

 

成功する共同経営のカタチ

 

上手く機能するやり方ももちろんあると思ってます。

1つは

役割分担を明確にする事

これにより、売上や出資、借入に左右されない関係を築けると思います。

1人はプレイヤー、1人は経営みたいに、それぞれ得意分野の担当をこなして行く。美容師と異業種の2人で開業なんかは、二人とも美容師よりもかえって上手くいくかもしれませんね!

美容師は経営の知識や経験があまりないので、そこを異業種経験者が補い、逆に美容の事は詳しくない、技術もわからないので、美容師に任せる。

こうなるとある程度すっきりしますよね。

 

もう1つは

法人を設立し、二人共が役員になる

借入れは法人、役員報酬になる為、2人の所得は平等。

これだと給与面、出資や借入れでの平等性は保たれます。

が、社会保険の問題や、消費税免税などを考えると、リスクも結構大きいと思います。

個人事業で開業するよりも、費用も多少かかりますしね。

 

 

元々は共同で経営してた方達が、2店舗目の出店時にそれぞれに別れたりしてる話も聞きますし、兄弟や親しい知人でも関係が悪くなってしまったなんてケースも。。。

開業時のリスクを分散できるかわりに、開業後に思わぬリスクを背負う事になるかもしれないので、慎重に考えなければいけないですよね。

 

 

長文、お付き合いありがとうございます!

ABOUTこの記事をかいた人

千葉 実(チバ ミノル)

所属:REPSS株式会社

美容室の独立・開業・経営をサポートをしています!!

前職は美容ディーラー、その前は美容師をしていたので、18歳で高校卒業からずーっと美容業界に携わっています。

美容室、独立や経営に携わるうちに、誰かに相談したいことや今更知り合いには聞きづらいことなど、特に開業時にはわからないことばかりだと思います。

あー、そうなんだなるほどね。もっと早く見とけば良かった!聞いておけば良かった!と思ってもらえる情報を発信していければと思っています。